民話がすき

屋久島民話、「ぶっついくわったい」。


むかし、むかし。あるところに、母と兄と弟の親子三人がくらしていました。


兄の名はぶっつい、弟の名はくわったいというおもしろい名前でした。


兄のぶっついは、野にわなをいくつもかけておりました。


母はめくらでしたが働きもので、ある日、カラ芋畠の草取りに行く途中、ぶっついがかけたわなにかかって、ばーたばた、もがいていました。


兄のぶっついがいうには、


「おい、くわったい、くわったい、おまえはあの向うのカラ拳畠の近くにおれがわなをしかけておいたから、見てきてくれんか。かかっているものは何でもよかから持ってこい。」


「はい」


と返事して、弟のくわったいは出かけました。


わなのところに行ってみると、母がわなにかかって、めくらなのでただばーたばたしてもがいていました。


頭のおかしいくわったいはそれを見、


「かかっているものは何でもよかから持ってこいとあにいがいったが」


と思って、ばーたばたもがいている母をぷいと打ち殺して、そしてひっかたげて、


「あにい、こア、とってきた」


と家にもどっていいました。


「何をとってきたか。」


「カカさんがわなにかかって、ばーたばたしてあるもんじゃから、殺してかたげてきた。」


「くわったいんのばか。頭が悪かていいながらカカさんを打ち殺しでるちゅうがあるか。ほんのばかじゃ。」


兄のぶっついはこういって、泣き泣き、また、


「それならもうしかたはなか。はよ、葬式をしよう。


じゃが家にはあ金も米もなんもなかが、どうすいばよかか、和尚さんをたのむこもでけんが」


となげきました。それから、


「そいでも葬式はせんといかんが。くわったい、おまえは和尚さんをたのんでこんか。


和尚さんはネ、黒い衣を着てお寺にはいっておらんときゃ、前の庭にあるから」


といいました。


くわったいは、お寺に行きました。


ところが門にカラスがとまっていましたのでそのカラスに、


「和尚さん」


といったら、


「ガァ」


と鳴きました。また、


「和尚さん」


といったら、


「ガァ。」


「和尚さん。」


「ガァ。」


そして、しまいには、


「ガァガァばっかいゆうて、ほんのばかが」


というたら、カラスは飛んで行きました。

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